Enu's,Inc. Report

冬になれば夏を、夏が来れば秋を思う。

ap bank fes'23 1日目 振り返り

憧れの場所、という言葉を、割と軽々しく使ってしまう。

でもしょうがない、東京ドームだって武道館だって、いつか行ってみたい場所だったのだから。

つま恋も、そんな私の憧れで、夢の場所のひとつだった。いつか行きたいとずっと思っていた。

 

ずっと憧れていた場所で大好きな人たちの音楽を聴いたということ。なんだか遠い昔のことのようでもあり、夏の幻のようにも感じる。
でも、足首の日焼け痕を見ると「あぁ、自分もあそこにいたんだな」ということを思い出す。そう、私もつま恋にいたんだ。

 

せっかくだから、いつか消えるであろう日焼けの痕以外にも、記録を残したい。

だからこうして拙い文章で、慣れないレポというものを書く。感情に任せて書いていくうえに、記憶力がヤバい(語彙力)ので要所要所で表現がグチャグチャになるかもしれないが、許してください…

 

⚠以下、ap bank fes'23 1日目(7月15日)ネタバレ注意⚠

 

 


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1日目(7月15日) セットリスト

Bank Band
よく来たね
緑の街
奏逢~Bank Bandのテーマ~

Salyu
トビラ
新しいYES

真心ブラザーズ
人間はもう終わりだ!
サマーヌード
素晴らしきこの世界

Anly(Individual Act)
エトランゼ
Welcome to my island
Venus 

Mr.Children(Band Act)
CROSS ROAD
雨のち晴れ
横断歩道を渡る人たち
HOWL
口がすべって
祈り~涙の軌道
幻聴
Your Song

宮本浩次
今宵の月のように
悲しみの果て
冬の花
P.S.I love you
ハレルヤ
東京協奏曲(w/櫻井和寿)

小田和正
the flag
so far so good
たしかなこと
生まれくる子供たちのために

Bank Band
若者のすべて
MESSAGE -メッセージ-(w/Salyu)

櫻井和寿×小林武史
HERO
to U(w/Salyu)

 

 


Bank Band
1曲目は「よく来たね」。やっぱりこれしかない!定番中の定番で、これまでもDVDで何度も何度も観てきた光景だったけれど、いざ生で聴いたら本当に…

よく来たね いろいろあったんだろう?
悲しいこと 嫌なこと 辛いこと
だけどこうしてまた会えたんだよ
笑顔をいっぱいつくろう

日常をなんとかやっつけて臨んだap bank fesでこの歌詞を聴いて、本当に涙が止まらなかった。
そして、多分それは私だけじゃないと思う。あの会場にいた全員、アーティスト含めた全員が、「いろいろあった」大変な時期を乗り越えてきたわけで。

再会を称える「よく来たね」は本当に特別なものだった。

「緑の街」はBank Bandの楽曲の中で1番好きな曲だし、「奏逢~Bank Bandのテーマ~」は序盤の盛り上がる雰囲気を作るにはもってこいだし、「糸」はやっぱり外せない曲だし。
ap bank fes、噂には聞いていたが初っ端から全開だなオイ!!!

 

Salyu
私はゆったりエリアの1番後ろのブロック、右後方から観ていたのですが、Salyuが出てきた瞬間「え?天使?」と思いました。真っ白な衣装が、遠目で完全に天使。
そんな天使の歌声、マジでパワフル。2005年からずっとap bank fesに出ていて、いつからか歌い方も変化してきたけれど、ずっとずっと繊細さと力強さの両方を兼ね備えていて、なんというか本当に稀有な表現者だと、生で聴くと余計に感じる。
「トビラ」も「新しいYES」も、つま恋の空にピッタリだったなぁ。

欲を言えば、ソロ曲もう少し聴きたかった…!まぁ後の再登場を考えれば体力温存は仕方ないことですが…

 

真心ブラザーズ
センセーショナルな「人間はもう終わりだ!」と、現実と地続きの大きなテーマをシニカルかつ優しく激しく歌う「素晴らしきこの世界」は、正にap bank fesという音楽フェスに沿った選曲だったと思う。どストレートなメッセージが真っ直ぐに刺さった。
加えて夏の定番曲「サマーヌード」まで!「The 夏フェス」を感じたなぁ。
流石歴戦のロックバンド。MC含めて、フェスというものの盛り上げ方を熟知してらっしゃる…

 

・Anly
不勉強故にこの日の出演者で唯一お名前を存じ上げなかったのですが、今回で完全に覚えました。凄すぎる。というか、いろいろなタイアップやってて「あの歌ってAnlyだったんだ!」っていうのがあって、ちゃんと実力者だった…ホントごめんなさい…
たった1人、ギター1本とルーパーだけであのステージに立って、一瞬で空気を持っていった。
正直なところ自分の周りでは、次のMr.Childrenの登場に備えて"休憩"しているお客さんが多かったのだが、最後にはみんなが注目していた。Twitterでも語彙力を失った大勢の人たちが「Anly凄い…」と呟いていたが、私も同じ気持ち。Anly凄い…

 

Mr.Children

1.CROSS ROAD

日比谷での演奏をU-NEXTで観て、やっぱりCROSS ROADいい曲だなぁ、いつか生で聴きたいなぁ、と思っていたけれど、それがこんなに早く叶うとは。桜井さん、この歌の良さがわからないって正気ですか!?

コロナ禍で岐路に立たされたものはいろいろあって、ライブシーンというものもその一つだったと思う。あの真っただ中は、次またいつかライブに行けるかなんて想像もできなくて。だからこそ

つかの間の悲しみは
やがて輝く未来へと

というフレーズが響いたな。あの悲しみの時間は、やがて輝く未来=今に繋がっていたんだなと。

 

2.雨のち晴れ

1DK狛江のアパートでは2羽のインコを飼ううわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
マジで!?

雨のち晴れ!?

いつの日にか!?

虹を渡ろう!?!?

「最近じゃグラマーな娘に滅法弱い、男ってそんなもんさ、だろ?」で右前方の男の人(?)指差してたの、かなり良かったな…最近じゃグラマーな娘に滅法弱いってのも、なんだかよくわかるようになってきたし…(おい)

「お前って暗い奴」で中央前方指さしてたのはどうかと思うぞ!!!(笑)

ライブでやるのは、15年ぶりですか…

この曲も、歳を重ねるごとに「自分事」として聴こえるようになってきたなぁ…


3.横断歩道を渡る人たち

マジか、コバタケ、マジか…
そしてマジか、Mr.Children、マジか…
そしてコバタケ、マジか…(涙)

自分は今後一切生で聴けないと思ってたから本当にビックリした。
この曲を聴きながら、いろんな人を思い出したよ。

この曲が持つポテンシャルをバツグンに感じたな。ライブ映えする曲で、フェス映えする曲だと、生で聴いて強く感じた。


4.HOWL

ウォォォォォォォォォ!!!
DTR(仮)で言及してたけど!やるなんて1ミリも考えてなかった!
というかですね、私はもうMr.Childrenの皆さんが「SENSE」「ブラオレ」「REFLECTION」という名盤たちの存在を忘れているんじゃないかと、ずっと心配していたんですよ。まぁ半エンでは「ロックンロールは生きている」やってたのでSENSEは辛うじて記憶の片隅にはあるのかな?という感じでしたが。
大きな空の下で、皆で声を合わせてシャウトする。あれほど気持ちいいものって、他に存在しないかも。

桜井さんのバタフライが見れました!!!

 

5.口がすべって

正直、これはやるかなと唯一予想していた。日比谷の「東京」を聴いた時に、あるな、と。
口喧嘩という小さな諍いから、民族をめぐる紛争まで、小さな視点から大きな視点まで世界観を広げる構成はMr.Childrenらしいし、改めてお見事としか言いようがない。

最後またごく小さい個人的なところに帰結するのかと思えば、「それが人間のいいとこ」と、人類全体を信じる〆なのも良い。

結局ミクロな視点からマクロな視点まで、別々のものに思えても繋がってるんだよね。

 

6.祈り~涙の軌道

ブラオレ忘れられてなかったねぇぇぇぇぇぇぇ!!!半エンでMarshmallow dayがメンバー落ちしたときには、もうブラオレはダメかもアカンと思ったけど!

失くしたくないものがひとつ またひとつ

まさに今日のこの景色のことだなと思って聴いていたよ。
生で聴いたのは初めてだけど、改めて綺麗な願いの歌だった。

 

7.幻聴

重力と呼吸ぶりですね!

幻聴もレア曲の方だけど、他の曲たちのインパクトが凄すぎて友だちみたいな挨拶しちゃった。REFLECTIONも忘れられてなかったし!

アウトロもシャウトさせてくれるかなと思ったけど、初めて聴くアレンジでしたね。
コロナ禍の声を出せないライブシーンで、桜井さんのシャウトの方法も変わってきたけど、どの曲のどの叫びも本気だから心の奥の奥まで響く。

 

8.Your Song

Your Song、やっぱり好きだ。
半エンでのメンバーに向けた弾き語りのYour Songもグッときたけど、客に向けて歌ってくれるYour Songもやっぱり最高だった。

飛び込んでくる嫌なニュースに心痛めて
また時にはちっちゃな事で笑い転げて
一緒に生きていく日々のエピソードが
特別に大きな意味を持ってる
そう君じゃなきゃ 君じゃなきゃ


この部分をつま恋ap bank fesという空間で聴けたこと、ことある事に思い出すんだろうなと思う。それくらい、人生における大事な歌詞が人生における大事なシーンとリンクした。

 


Mr.Childrenの出番を終えて出てきた感想は


「やっっっっっっば……………………」

 

でした。
他の日は「ゆりかごのある丘から」「pieces」「Simple」…
強い強すぎる…「HANABI」「名もなき詩」の一撃必殺技も超ズルいし、Mr.Childrenハンパねぇ…

 

つま恋という場所、ap bank fesという時間は、Mr.Childrenにとって本当にホームなんだなということを実感したセットリストだった。

 

去年の終盤に出演したスカパラさんとの対バンやSAI2022は、誤解を恐れず言えば「アウェイ」の地に乗り込むような感覚があったんじゃないかと思う。
だからこそ圧倒的な力で聴衆をねじ伏せる「最強のMr.Childrenを見られたし、「これがMr.Childrenだ!」と誇らしい気持ちにもなった。

 

でも今回のap bank fesは。


それとは全く違ったベクトルの「最強のMr.Children」だった。

うん…どう表現するべきか…
「ここ(※つま恋)は俺のシマだ、好き勝手にはさせねーよ」とでも言わんばかりに…(言わんだろ)。


ともかく、つま恋だからこそ、ap bank fesだからこそできるラインナップだと思うし、ある意味では客のことも最大限信頼してくれていたのかなと。

「最終日だけ定番曲…他の日ズルい…」と言う人もTwitter上にはいたけれど、なんというか今回はそういう「レア/レアじゃない」みたいな見方で判断するのはちょっと違うのかなと個人的には思う。

今の情勢、5年ぶりのつま恋、そしてap bank fesというライブの趣旨を考えていった結果、あの選曲に辿り着いたというのが自然な気がする。

 

誰も皆問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている

こんな不調和な生活の中で
たまに情緒不安定になるんだろう?
でもdarling 共に悩んだり
生涯を君に捧ぐ

 

今の社会に響いていってほしいフレーズが沢山あったMr.Childrenのライブだった。
またさらにMr.Childrenが好きになった!

 

宮本浩次

Mr.Childrenの後に宮本浩次を観れる、そんな豪華なフェスがあっていいんですか…!

今回のミヤジのセトリは、それこそ「The 宮本浩次!」という内容!

エレファントカシマシの代表曲「今宵の月のように」から始まり(この曲をギター持たずに歌ってるのってレアな姿だと思ったんですけど実際のところどうなんでしょうか)、唯一無二の応援歌「悲しみの果て」、宮本浩次ソロの代表曲「冬の花」「P.S.I love you」「ハレルヤ」と三連撃。

一度でも宮本浩次のライブを生で観てしまうと、一生宮本浩次という男の引力にやられてしまうんですよね、マジで。

凄いパワー、凄いエネルギー、そして凄い脚の細さ。

暑いのに相変わらず長袖長ズボンだし、おしりペンペンも炸裂してたし、すげー勢いで動き回るし、客に五重丸くれるし!

周りのお客さんもこの日一番の大盛り上がりだったな。

 

そんなエネルギッシュなミヤジが「いつも会う度に人をポジティブにさせてくれる男」として、櫻井和寿を召喚する…

初めて生で聴く「東京協奏曲」はホント刺さったな。

 

夢が叶えられない人も

戻ろうとして戻れない人も

君や彼女の夢のかけらも

連れて明日を作ろう

この街で

 

つま恋という夢の場所で聴いたこのフレーズが、足元を見つめなおすキッカケをくれた。

東京という街でなくとも、自分にできることを普段から頑張らないと。

 

それにしても、櫻井さんも歌ってるときよく動く方だけど、ミヤジと並ぶとめちゃ静かだった…

 

小田和正

ミヤジの次に出てきた小田さん、文字通りの「動」と「静」の対比過ぎてちょっと面白かったな。

櫻井さんの「リハをやっているときから本当に楽しいです」というセリフからも小田さんへのリスペクトを感じた。

小田さんは小田さんで本当に「流石」のひとこと。

ミヤジが作り上げた空間を、出てきた瞬間に塗り替えた。

 

櫻井さんが後のMCで「今日一番心に響いた言葉」と言った

誰かを幸せに出来るとしたら

きっとそれがいちばん幸せなこと

というフレーズ。

こんなに奇麗で美しい詞があったとは。

 

近年のap bankにおけるキーワードである「利他」という言葉。小田さんのステージは、その言葉を象徴するかのようなパフォーマンスだった。

 

小田「櫻井くん、いくつになったの…?」

櫻井「あっ…53です」

小田「あぁそう…じゃ次の曲やります」

のやり取りも面白かったし、

その後のMCで「あの時俺も『小田さんは何歳になったんですか』って、コミュニケーション取るべきだったよね…」と反省する櫻井さんも面白かった。

 

Bank Band

若者のすべて」は曲自体の魅力も相まって、最近ではBank Bandの代表曲的な見方もあるけど、流石のパフォーマンスだった。

暑さが和らいだ夕暮れのつま恋で聴くこの曲、最高だったなぁ。

 

Salyuを呼び込んでのMESSAGEもお見事の一言。

 

櫻井和寿 × 小林武史

タイムテーブルが発表になって一番のポイントがこの「櫻井和寿 × 小林武史」だったけど、このシンプルな構成がBank Bandの原点だということを思い出した。

ステージの骨格がモロに見えるライティングで鳴らされた「HERO」。

歳を重ねるごとに、この曲の主人公の気持ちが身に染みてわかる。

 

残酷に過ぎる時間の中で

きっと十分に僕も大人になったんだ

悲しくはない

切なさもない

ただこうして繰り返されてきたことが

そうこうして繰り返していくことが

嬉しい、愛しい

 

繰り返していくこと(それが必ずしも良いことかはわからないけれど)、そして受け継いでいくこと。特に子どもたちの世代に向けてバトンを渡していくこと。ここに喜びを感じる場面が年々増えてきている。

私がいたエリアは子ども連れの親子が多くて、ライブ中もシャボン玉が舞ったり微笑ましい光景に溢れていた。

 

つま恋での「HERO」というと、やはり05の印象が強かったけど。23のHEROはそれを上回ったかもしれない。

 

ラストは三度Salyuを呼び込んで、「to U」。

これまでの出演者総出でのエンディングも良かったけど、シンプルな構成の「to U」はより洗練されてメッセージ性を持つ感じがする。個人的にはこの3人のto Uが好きだなと改めて感じた。

 

最後は全員集合!

まさか全員残ってたなんて!ミヤジがMr.Childrenの面々とガッチリ握手してたの見逃さなかったぜ。

挨拶の時は既に日が落ちてステージも夜の表情だったけど、熱みたいなポジティブなエネルギーは最後の最後まで落ちなかった。

 

櫻井さんとコバタケ、そしてBank Bandの面々のグダグダな挨拶もご愛嬌(笑)

こうして、初めてのつま恋での夢のような1日が終わった。

 

 

 

ほんっっっっっとうに楽しかった。

朝のシャトルバス待ちからものすごい暑さだったし、そのくせたまに雨降るし、ご飯買うにも長蛇の列だし、スマホ全く繋がらんし。ライブ開始の15:00が近づくにつれ太陽も本気出し始めてどんどん暑くなってどんどん体力も消耗したけど。

その全てが愛おしい思い出になるくらい、つま恋という場所は想像していた以上に本当に素敵な世界だった。

暑い中あの空間を作り上げてくれたアーティスト、スタッフの方々には頭が上がらない。本当に本当にありがとうございました。

 

「社会と暮らしと音楽と」というサブタイトルが付いた今回のap bank fes。

「社会」を構成する、小さな単位での「暮らし」。そしてその暮らしのあらゆる場面で様々な音楽が鳴っているということ。それは逆の視点で見れば、極々小さなひとりひとりが聴く音楽が社会を作っていくということ…

社会問題へ意識を向けるフェスらしく、選曲もただ盛り上がればいい、というものではなく、この日演奏された全ての曲ひとつひとつに大事なメッセージが込められていた。

地球環境を考える、世界平和を願う、愛する人の平穏を祈る…自分みたいな矮小な人間に難しいことはできないけれど、それでも音楽を聴くことはできる。ちょっとずつ何かを考えることはできる。そんなシンプルなことに気づかせてくれるフェスだった。

 

 

初めてのつま恋、何もかもが未知の世界で、全然写真も撮れてないしご飯も満足に食べれてないし!

帰りは新幹線の時間的にシャトルバスを待てず、死ぬほど消耗してる脚で死ぬほど暑い中駅まで歩いたし(心の底から「若さで乗り切れるのも今年くらいだね」と思った)、つま恋はまだまだ攻略ポイントが多い場所でした。

 

「やり残したことがある」くらいが、また次行く楽しみになる!

つま恋、また行きます。今度はさらに多くの人の夢を叶えてくれますように。


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この文章を1週間掛けて書いていたら、Mr.Childrenからとんでもない情報が発表されて心臓飛び出た。そんな情報持ってるならさ、JEN言ってよ…!

つくづく生きる希望になってくれる人たちだよ…また会う日まで、元気で生きます。