Enu's,Inc. Report

冬になれば夏を、夏が来れば秋を思う。

ap bank fes'23 1日目 振り返り

憧れの場所、という言葉を、割と軽々しく使ってしまう。

でもしょうがない、東京ドームだって武道館だって、いつか行ってみたい場所だったのだから。

つま恋も、そんな私の憧れで、夢の場所のひとつだった。いつか行きたいとずっと思っていた。

 

ずっと憧れていた場所で大好きな人たちの音楽を聴いたということ。なんだか遠い昔のことのようでもあり、夏の幻のようにも感じる。
でも、足首の日焼け痕を見ると「あぁ、自分もあそこにいたんだな」ということを思い出す。そう、私もつま恋にいたんだ。

 

せっかくだから、いつか消えるであろう日焼けの痕以外にも、記録を残したい。

だからこうして拙い文章で、慣れないレポというものを書く。感情に任せて書いていくうえに、記憶力がヤバい(語彙力)ので要所要所で表現がグチャグチャになるかもしれないが、許してください…

 

⚠以下、ap bank fes'23 1日目(7月15日)ネタバレ注意⚠

 

 


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1日目(7月15日) セットリスト

Bank Band
よく来たね
緑の街
奏逢~Bank Bandのテーマ~

Salyu
トビラ
新しいYES

真心ブラザーズ
人間はもう終わりだ!
サマーヌード
素晴らしきこの世界

Anly(Individual Act)
エトランゼ
Welcome to my island
Venus 

Mr.Children(Band Act)
CROSS ROAD
雨のち晴れ
横断歩道を渡る人たち
HOWL
口がすべって
祈り~涙の軌道
幻聴
Your Song

宮本浩次
今宵の月のように
悲しみの果て
冬の花
P.S.I love you
ハレルヤ
東京協奏曲(w/櫻井和寿)

小田和正
the flag
so far so good
たしかなこと
生まれくる子供たちのために

Bank Band
若者のすべて
MESSAGE -メッセージ-(w/Salyu)

櫻井和寿×小林武史
HERO
to U(w/Salyu)

 

 


Bank Band
1曲目は「よく来たね」。やっぱりこれしかない!定番中の定番で、これまでもDVDで何度も何度も観てきた光景だったけれど、いざ生で聴いたら本当に…

よく来たね いろいろあったんだろう?
悲しいこと 嫌なこと 辛いこと
だけどこうしてまた会えたんだよ
笑顔をいっぱいつくろう

日常をなんとかやっつけて臨んだap bank fesでこの歌詞を聴いて、本当に涙が止まらなかった。
そして、多分それは私だけじゃないと思う。あの会場にいた全員、アーティスト含めた全員が、「いろいろあった」大変な時期を乗り越えてきたわけで。

再会を称える「よく来たね」は本当に特別なものだった。

「緑の街」はBank Bandの楽曲の中で1番好きな曲だし、「奏逢~Bank Bandのテーマ~」は序盤の盛り上がる雰囲気を作るにはもってこいだし、「糸」はやっぱり外せない曲だし。
ap bank fes、噂には聞いていたが初っ端から全開だなオイ!!!

 

Salyu
私はゆったりエリアの1番後ろのブロック、右後方から観ていたのですが、Salyuが出てきた瞬間「え?天使?」と思いました。真っ白な衣装が、遠目で完全に天使。
そんな天使の歌声、マジでパワフル。2005年からずっとap bank fesに出ていて、いつからか歌い方も変化してきたけれど、ずっとずっと繊細さと力強さの両方を兼ね備えていて、なんというか本当に稀有な表現者だと、生で聴くと余計に感じる。
「トビラ」も「新しいYES」も、つま恋の空にピッタリだったなぁ。

欲を言えば、ソロ曲もう少し聴きたかった…!まぁ後の再登場を考えれば体力温存は仕方ないことですが…

 

真心ブラザーズ
センセーショナルな「人間はもう終わりだ!」と、現実と地続きの大きなテーマをシニカルかつ優しく激しく歌う「素晴らしきこの世界」は、正にap bank fesという音楽フェスに沿った選曲だったと思う。どストレートなメッセージが真っ直ぐに刺さった。
加えて夏の定番曲「サマーヌード」まで!「The 夏フェス」を感じたなぁ。
流石歴戦のロックバンド。MC含めて、フェスというものの盛り上げ方を熟知してらっしゃる…

 

・Anly
不勉強故にこの日の出演者で唯一お名前を存じ上げなかったのですが、今回で完全に覚えました。凄すぎる。というか、いろいろなタイアップやってて「あの歌ってAnlyだったんだ!」っていうのがあって、ちゃんと実力者だった…ホントごめんなさい…
たった1人、ギター1本とルーパーだけであのステージに立って、一瞬で空気を持っていった。
正直なところ自分の周りでは、次のMr.Childrenの登場に備えて"休憩"しているお客さんが多かったのだが、最後にはみんなが注目していた。Twitterでも語彙力を失った大勢の人たちが「Anly凄い…」と呟いていたが、私も同じ気持ち。Anly凄い…

 

Mr.Children

1.CROSS ROAD

日比谷での演奏をU-NEXTで観て、やっぱりCROSS ROADいい曲だなぁ、いつか生で聴きたいなぁ、と思っていたけれど、それがこんなに早く叶うとは。桜井さん、この歌の良さがわからないって正気ですか!?

コロナ禍で岐路に立たされたものはいろいろあって、ライブシーンというものもその一つだったと思う。あの真っただ中は、次またいつかライブに行けるかなんて想像もできなくて。だからこそ

つかの間の悲しみは
やがて輝く未来へと

というフレーズが響いたな。あの悲しみの時間は、やがて輝く未来=今に繋がっていたんだなと。

 

2.雨のち晴れ

1DK狛江のアパートでは2羽のインコを飼ううわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
マジで!?

雨のち晴れ!?

いつの日にか!?

虹を渡ろう!?!?

「最近じゃグラマーな娘に滅法弱い、男ってそんなもんさ、だろ?」で右前方の男の人(?)指差してたの、かなり良かったな…最近じゃグラマーな娘に滅法弱いってのも、なんだかよくわかるようになってきたし…(おい)

「お前って暗い奴」で中央前方指さしてたのはどうかと思うぞ!!!(笑)

ライブでやるのは、15年ぶりですか…

この曲も、歳を重ねるごとに「自分事」として聴こえるようになってきたなぁ…


3.横断歩道を渡る人たち

マジか、コバタケ、マジか…
そしてマジか、Mr.Children、マジか…
そしてコバタケ、マジか…(涙)

自分は今後一切生で聴けないと思ってたから本当にビックリした。
この曲を聴きながら、いろんな人を思い出したよ。

この曲が持つポテンシャルをバツグンに感じたな。ライブ映えする曲で、フェス映えする曲だと、生で聴いて強く感じた。


4.HOWL

ウォォォォォォォォォ!!!
DTR(仮)で言及してたけど!やるなんて1ミリも考えてなかった!
というかですね、私はもうMr.Childrenの皆さんが「SENSE」「ブラオレ」「REFLECTION」という名盤たちの存在を忘れているんじゃないかと、ずっと心配していたんですよ。まぁ半エンでは「ロックンロールは生きている」やってたのでSENSEは辛うじて記憶の片隅にはあるのかな?という感じでしたが。
大きな空の下で、皆で声を合わせてシャウトする。あれほど気持ちいいものって、他に存在しないかも。

桜井さんのバタフライが見れました!!!

 

5.口がすべって

正直、これはやるかなと唯一予想していた。日比谷の「東京」を聴いた時に、あるな、と。
口喧嘩という小さな諍いから、民族をめぐる紛争まで、小さな視点から大きな視点まで世界観を広げる構成はMr.Childrenらしいし、改めてお見事としか言いようがない。

最後またごく小さい個人的なところに帰結するのかと思えば、「それが人間のいいとこ」と、人類全体を信じる〆なのも良い。

結局ミクロな視点からマクロな視点まで、別々のものに思えても繋がってるんだよね。

 

6.祈り~涙の軌道

ブラオレ忘れられてなかったねぇぇぇぇぇぇぇ!!!半エンでMarshmallow dayがメンバー落ちしたときには、もうブラオレはダメかもアカンと思ったけど!

失くしたくないものがひとつ またひとつ

まさに今日のこの景色のことだなと思って聴いていたよ。
生で聴いたのは初めてだけど、改めて綺麗な願いの歌だった。

 

7.幻聴

重力と呼吸ぶりですね!

幻聴もレア曲の方だけど、他の曲たちのインパクトが凄すぎて友だちみたいな挨拶しちゃった。REFLECTIONも忘れられてなかったし!

アウトロもシャウトさせてくれるかなと思ったけど、初めて聴くアレンジでしたね。
コロナ禍の声を出せないライブシーンで、桜井さんのシャウトの方法も変わってきたけど、どの曲のどの叫びも本気だから心の奥の奥まで響く。

 

8.Your Song

Your Song、やっぱり好きだ。
半エンでのメンバーに向けた弾き語りのYour Songもグッときたけど、客に向けて歌ってくれるYour Songもやっぱり最高だった。

飛び込んでくる嫌なニュースに心痛めて
また時にはちっちゃな事で笑い転げて
一緒に生きていく日々のエピソードが
特別に大きな意味を持ってる
そう君じゃなきゃ 君じゃなきゃ


この部分をつま恋ap bank fesという空間で聴けたこと、ことある事に思い出すんだろうなと思う。それくらい、人生における大事な歌詞が人生における大事なシーンとリンクした。

 


Mr.Childrenの出番を終えて出てきた感想は


「やっっっっっっば……………………」

 

でした。
他の日は「ゆりかごのある丘から」「pieces」「Simple」…
強い強すぎる…「HANABI」「名もなき詩」の一撃必殺技も超ズルいし、Mr.Childrenハンパねぇ…

 

つま恋という場所、ap bank fesという時間は、Mr.Childrenにとって本当にホームなんだなということを実感したセットリストだった。

 

去年の終盤に出演したスカパラさんとの対バンやSAI2022は、誤解を恐れず言えば「アウェイ」の地に乗り込むような感覚があったんじゃないかと思う。
だからこそ圧倒的な力で聴衆をねじ伏せる「最強のMr.Childrenを見られたし、「これがMr.Childrenだ!」と誇らしい気持ちにもなった。

 

でも今回のap bank fesは。


それとは全く違ったベクトルの「最強のMr.Children」だった。

うん…どう表現するべきか…
「ここ(※つま恋)は俺のシマだ、好き勝手にはさせねーよ」とでも言わんばかりに…(言わんだろ)。


ともかく、つま恋だからこそ、ap bank fesだからこそできるラインナップだと思うし、ある意味では客のことも最大限信頼してくれていたのかなと。

「最終日だけ定番曲…他の日ズルい…」と言う人もTwitter上にはいたけれど、なんというか今回はそういう「レア/レアじゃない」みたいな見方で判断するのはちょっと違うのかなと個人的には思う。

今の情勢、5年ぶりのつま恋、そしてap bank fesというライブの趣旨を考えていった結果、あの選曲に辿り着いたというのが自然な気がする。

 

誰も皆問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている

こんな不調和な生活の中で
たまに情緒不安定になるんだろう?
でもdarling 共に悩んだり
生涯を君に捧ぐ

 

今の社会に響いていってほしいフレーズが沢山あったMr.Childrenのライブだった。
またさらにMr.Childrenが好きになった!

 

宮本浩次

Mr.Childrenの後に宮本浩次を観れる、そんな豪華なフェスがあっていいんですか…!

今回のミヤジのセトリは、それこそ「The 宮本浩次!」という内容!

エレファントカシマシの代表曲「今宵の月のように」から始まり(この曲をギター持たずに歌ってるのってレアな姿だと思ったんですけど実際のところどうなんでしょうか)、唯一無二の応援歌「悲しみの果て」、宮本浩次ソロの代表曲「冬の花」「P.S.I love you」「ハレルヤ」と三連撃。

一度でも宮本浩次のライブを生で観てしまうと、一生宮本浩次という男の引力にやられてしまうんですよね、マジで。

凄いパワー、凄いエネルギー、そして凄い脚の細さ。

暑いのに相変わらず長袖長ズボンだし、おしりペンペンも炸裂してたし、すげー勢いで動き回るし、客に五重丸くれるし!

周りのお客さんもこの日一番の大盛り上がりだったな。

 

そんなエネルギッシュなミヤジが「いつも会う度に人をポジティブにさせてくれる男」として、櫻井和寿を召喚する…

初めて生で聴く「東京協奏曲」はホント刺さったな。

 

夢が叶えられない人も

戻ろうとして戻れない人も

君や彼女の夢のかけらも

連れて明日を作ろう

この街で

 

つま恋という夢の場所で聴いたこのフレーズが、足元を見つめなおすキッカケをくれた。

東京という街でなくとも、自分にできることを普段から頑張らないと。

 

それにしても、櫻井さんも歌ってるときよく動く方だけど、ミヤジと並ぶとめちゃ静かだった…

 

小田和正

ミヤジの次に出てきた小田さん、文字通りの「動」と「静」の対比過ぎてちょっと面白かったな。

櫻井さんの「リハをやっているときから本当に楽しいです」というセリフからも小田さんへのリスペクトを感じた。

小田さんは小田さんで本当に「流石」のひとこと。

ミヤジが作り上げた空間を、出てきた瞬間に塗り替えた。

 

櫻井さんが後のMCで「今日一番心に響いた言葉」と言った

誰かを幸せに出来るとしたら

きっとそれがいちばん幸せなこと

というフレーズ。

こんなに奇麗で美しい詞があったとは。

 

近年のap bankにおけるキーワードである「利他」という言葉。小田さんのステージは、その言葉を象徴するかのようなパフォーマンスだった。

 

小田「櫻井くん、いくつになったの…?」

櫻井「あっ…53です」

小田「あぁそう…じゃ次の曲やります」

のやり取りも面白かったし、

その後のMCで「あの時俺も『小田さんは何歳になったんですか』って、コミュニケーション取るべきだったよね…」と反省する櫻井さんも面白かった。

 

Bank Band

若者のすべて」は曲自体の魅力も相まって、最近ではBank Bandの代表曲的な見方もあるけど、流石のパフォーマンスだった。

暑さが和らいだ夕暮れのつま恋で聴くこの曲、最高だったなぁ。

 

Salyuを呼び込んでのMESSAGEもお見事の一言。

 

櫻井和寿 × 小林武史

タイムテーブルが発表になって一番のポイントがこの「櫻井和寿 × 小林武史」だったけど、このシンプルな構成がBank Bandの原点だということを思い出した。

ステージの骨格がモロに見えるライティングで鳴らされた「HERO」。

歳を重ねるごとに、この曲の主人公の気持ちが身に染みてわかる。

 

残酷に過ぎる時間の中で

きっと十分に僕も大人になったんだ

悲しくはない

切なさもない

ただこうして繰り返されてきたことが

そうこうして繰り返していくことが

嬉しい、愛しい

 

繰り返していくこと(それが必ずしも良いことかはわからないけれど)、そして受け継いでいくこと。特に子どもたちの世代に向けてバトンを渡していくこと。ここに喜びを感じる場面が年々増えてきている。

私がいたエリアは子ども連れの親子が多くて、ライブ中もシャボン玉が舞ったり微笑ましい光景に溢れていた。

 

つま恋での「HERO」というと、やはり05の印象が強かったけど。23のHEROはそれを上回ったかもしれない。

 

ラストは三度Salyuを呼び込んで、「to U」。

これまでの出演者総出でのエンディングも良かったけど、シンプルな構成の「to U」はより洗練されてメッセージ性を持つ感じがする。個人的にはこの3人のto Uが好きだなと改めて感じた。

 

最後は全員集合!

まさか全員残ってたなんて!ミヤジがMr.Childrenの面々とガッチリ握手してたの見逃さなかったぜ。

挨拶の時は既に日が落ちてステージも夜の表情だったけど、熱みたいなポジティブなエネルギーは最後の最後まで落ちなかった。

 

櫻井さんとコバタケ、そしてBank Bandの面々のグダグダな挨拶もご愛嬌(笑)

こうして、初めてのつま恋での夢のような1日が終わった。

 

 

 

ほんっっっっっとうに楽しかった。

朝のシャトルバス待ちからものすごい暑さだったし、そのくせたまに雨降るし、ご飯買うにも長蛇の列だし、スマホ全く繋がらんし。ライブ開始の15:00が近づくにつれ太陽も本気出し始めてどんどん暑くなってどんどん体力も消耗したけど。

その全てが愛おしい思い出になるくらい、つま恋という場所は想像していた以上に本当に素敵な世界だった。

暑い中あの空間を作り上げてくれたアーティスト、スタッフの方々には頭が上がらない。本当に本当にありがとうございました。

 

「社会と暮らしと音楽と」というサブタイトルが付いた今回のap bank fes。

「社会」を構成する、小さな単位での「暮らし」。そしてその暮らしのあらゆる場面で様々な音楽が鳴っているということ。それは逆の視点で見れば、極々小さなひとりひとりが聴く音楽が社会を作っていくということ…

社会問題へ意識を向けるフェスらしく、選曲もただ盛り上がればいい、というものではなく、この日演奏された全ての曲ひとつひとつに大事なメッセージが込められていた。

地球環境を考える、世界平和を願う、愛する人の平穏を祈る…自分みたいな矮小な人間に難しいことはできないけれど、それでも音楽を聴くことはできる。ちょっとずつ何かを考えることはできる。そんなシンプルなことに気づかせてくれるフェスだった。

 

 

初めてのつま恋、何もかもが未知の世界で、全然写真も撮れてないしご飯も満足に食べれてないし!

帰りは新幹線の時間的にシャトルバスを待てず、死ぬほど消耗してる脚で死ぬほど暑い中駅まで歩いたし(心の底から「若さで乗り切れるのも今年くらいだね」と思った)、つま恋はまだまだ攻略ポイントが多い場所でした。

 

「やり残したことがある」くらいが、また次行く楽しみになる!

つま恋、また行きます。今度はさらに多くの人の夢を叶えてくれますように。


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この文章を1週間掛けて書いていたら、Mr.Childrenからとんでもない情報が発表されて心臓飛び出た。そんな情報持ってるならさ、JEN言ってよ…!

つくづく生きる希望になってくれる人たちだよ…また会う日まで、元気で生きます。

ファンであるということ

いつからか、「ファン」と呼ばれる類のものが好きだ。

 

私は子どもの頃からサッカーが好きで、今でも毎週欠かさずJリーグを見ては推しチームの勝敗に一喜一憂している。(厳密に言えば今はオフシーズンだけど…)

 

サッカーの試合の中継では、頻繁に客席の様子が映される。

手拍子をしていたり、(今はコロナ禍であまり見られないけれど)必死に声援を送っていたり、祈ったり、泣いたりする様子。

私はあれが好きだ。

得点が決まれば周囲の知らない人と抱き合って喜び、試合に敗れれば「次また頑張ろうぜ!」と無理やりに前を向く、そんな姿を見ていると、どうしようもなく涙が出る瞬間がある。

 

…歳を取ると嫌だね、涙腺が緩んで。

 

 

 

Mr.Childrenにおける「ファン」も当然好きだ。

 

Mr.Childrenファンとの交流にはいろいろ思い出がある。

 

2019年5月19日、東京ドーム。

前日にチケットを手にした私は、これからMr.Childrenに会えるということをにわかに信じられないまま東京ドームのフォトスポットに並んでいた。1人での参戦だった私は、私の後ろに並んだ男性にお願いしシャッターを押してもらった。お返しに私もその男性のスマホのシャッターを押した。

スマホの受け渡しをした流れでその男性と少し話をした。聞けばその男性も1人での参戦で、しかも人生初生Mr.Childrenだと。別れ際、その男性は満面の笑みで「めっっっちゃ楽しみですね!」と言った。

…いざこうして文字に起こすと、いかにもありきたりな流れというか、ライブ会場に限らず、よくある光景に見えないこともないが、私にとってはこの男性とのやり取りはかなり印象に残っている。f:id:enu_moto:20221231125054j:image

 

時間は歪んで、2022年5月11日、これまた東京ドーム。

「半世紀へのエントランス」東京公演が終わった後、どうにもすぐにホテルに帰る気にならず、帰っていく人たちを眺めていた。

私に近づいてくる男性が1人。「シャッター押してもらえませんか?」との申し出を二つ返事で了承し、撮影会を始めた(こう考えるといつも誰かのシャッターを押してるな)。

 

エントランスマンのタオル持って!はいじゃあ今度はバックショットでいこう!オッケー!次東京公演のタオマフ持って!はいこっちも背中側撮ろう!

 

なんて撮影会をしていると(※実際はもっと丁寧に対応してました)、「僕の写真も撮ってもらえませんか…?」と、また1人の男性が。もちろん良いですよ!と迎え入れ、結果的に私も写真を撮ってもらい、3人で撮りつ撮られつをしばし繰り返した。

 

私が皆さんはどこから来たんですか、と尋ねると、「私は○○から」「私は◎◎から」と返事。あそこで偶然にも集まった3人は、全員が全員東京から遠く離れた地から、Mr.Childrenへおめでとうを言うために集まったのだった。

 

…いや、これまた何の変哲もないよくある交流なのだろうけれども。名前も知らない人たち、もう一度会ってもお互いに気がつけないかもしれないけれど、確かにあの夜、Mr.Childrenが奇妙で面白い出会いをくれた。

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Mr.Children GIFT for you」の話。

ネタバレになってしまうので多くは語らないが、本当にいい映画だった。

映画を見終えた後、劇場を出てからずっと「誰も見な問題を抱えている / だけど素敵な明日を願っている」というHANABIの歌詞が頭の中で流れ続けている。

私が好きなバンドは、本当に偉大だ。

 

 

 

話を「ファン」の方に戻して。

私はファンが好きだ。そして私自身、紛れもなくいろいろなもののファンでもある。

だがその一方で…1歩引いたところから、ファンでいる自分を冷めた目で見ている私がいるのも事実だ。

 

自分の力を信用していない。

サッカーでは昔から「サポーター」という言葉が使われる。が、自分で自分のことを、なかなかサポーターとは言えない。

「支える人」って!そんな大層なことはできていないよ。勝手に応援して、勝手に一喜一憂しているだけ。

 

GIFT for youの予告編映像の中で、桜井さんの「皆さん全部含めた『Mr.Children』っていうチーム」という言葉が使われていた。Twitterを見ていたら、「桜井さんが私たち(ファンのこと)をチームって言ってくれてる」というツイートをいくつも見つけた。

桜井さんがどんな心境で言ったか、真意はわからない。どれくらいの規模感を想定して言ったかは知る由もない。

でも私としては、あの「皆さん」の中に、ファンは含まれていないんじゃないかなと思っている。もちろんこれは私が勝手に言っていることで当然桜井さんの考えでは無いし、受け取り方は観た人それぞれの自由だろう(それだと桜井さんが困る?)。

私としては、「Mr.Childrenというチームに入れてもらう」なんて恐縮すぎて…

 

自分に対して物凄く冷たい言い方をすれば、勝手に応援して、勝手に人生重ねてるだけだ。

「君に届くはずない」という「潜水」の歌詞がよくわかる。

そう、届くはずない。

 

 

でも、でもね。

Mr.Childrenには、私たちをいつも巻き込んでくれる。

 

半世紀へのエントランスの「innocent world」では、声を出せない状況の我々に "いつものところ" を任せてくれた、心の中で歌わせてくれた。どんな状況であっても巻き込んでくれる、肩組んでくれる、一緒になってくれる、Mr.Childrenってそんな存在だ。

 

 

純粋な本音を言えば。

 

届けたい、届けたい。届くはずのない声だとしても、あなたに届けたい。

 

これが私の本心。

 

「ありがとう」も、「おめでとう」も、「これからもよろしく」も、全部届いて欲しい。そんな淡い願いを抱いてスタートした2022年だった。

 

そして

 

繋がっている、届いているを改めて感じたのが「半世紀へのエントランス」であり、会報やラジオなどのファンクラブコンテンツであり、「GIFT for you」だった。

 

もちろん他にも「Dear Mr.Children」やベストアルバム発売、書籍・雑誌の多数販売にスカパラ対バンSAI2022出演、ミスチル三昧、SONGS、Mステなどなど…

全部を体験したわけじゃないけれど、きっとそのどれもが素晴らしかったはず。

Mr.Childrenがくれる愛と、Mr.Childrenに向ける愛の両方を、出来る限り最大限全身で浴びた2022年だった。

幸せだったよ。

 

何度でも言いたい。

今年1年、素敵な景色を沢山見せてもらって、本当にどうもありがとう。

来たる "半世紀" へ向けて、これからもMr.Childrenのファンでいさせてください。

 

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この気持ち、届くかな。

 

 

eИumotoの妄想セットリスト

先日行われた「今日は一日"ミスチル30周年"三昧」の「妄想セットリスト」に触発され、非常に図々しいと自覚しつつ、私も30曲を考えさせて頂きました。


テーマとしては30周年記念ライブ。「半世紀へのエントランス」のセットリスト予想ではなく、あくまで別の世界線の30周年記念ライブだと考えました、複雑ですが…
会場は私の大好きな"聖地"、東京ドームです。

 

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OP
 ※ゆったりとしたSE。徐々にクレッシェンドしていくが、それに反比例してスクリーンが暗くなっていく。ステージ上にはメンバーはおろか楽器すら無し。

 

01. The song of praise
 ※イントロと同時にステージがせり上がりメンバーが登場。スクリーンにはメンバーの上昇に合わせて日の出の映像が映し出される。
ラジオに出演されていたどなたのセットリストにも選ばれていなかったのが意外に感じました。近年のMr.Childrenの楽曲の中でも、特に幅広い世代の人たちの背中を押した曲だと思っています。The song of praiseで始まるライブも観てみたいし、The song of praiseで終わるライブも観てみたい。ライブの要所で輝きそうと勝手に見込んでいます。

 

02. 蘇生
 ※前曲が終わると同時に蘇生のイントロがスタート。
本当であれば助走として「overture」は外せないのですが、30曲の縛りの中で選出する余裕がありませんでした…
背中を押し続けてくれるこの歌でライブを明るく始めたい。


03. 終わりなき旅
最近(最近?)のMr.Childrenのライブには、「このタイミングでその曲!?」っていう枠がひとつはあると思ってます(例:AAGの「Starting over」など)。「終わりなき旅」が間で演奏されるイメージは最近ではなかなか想像できないけれど、これはこれで良い方向に作用すると期待して。

 

04. Worlds end
どこか閉塞感のある今、「何に縛られるでもなく/僕らはどこへでも行ける」という歌詞が欲しい。いつどんなライブでも、序盤中盤終盤どのタイミングでも輝くWorlds endはかえって使いどころが難しいけれど、後ろは他の曲に任せて前半に登場してもらいます。

 

〈MC〉
 ※「皆さんとの今日の出会いに感謝」というワードが登場するMC。

 

05. GIFT
年々この曲のメッセージ性は輝きを増しているなと感じています。「君から僕へ、僕から君へ」Mr.Childrenとの繋がりを感じられる1曲を、ぜひライブで聴きたい。

 

06. くるみ
繋がりを~などとうんぬんかんぬん言った直後に、「進もう、君のいない道の上」って歌うの、なんとなくMr.Childrenっぽさありませんか?ないですか、そうですか…
「くるみ」は個人的な思い入れがありすぎて、絶対に外せない1曲です。

 

07. 君がいた夏
Mr.Childrenの第1歩とも呼べるこの曲を、外す訳にはいかないでしょう。Mr.Childrenの楽曲にしては珍しく季節が名指しされているのに、いつ聞いてもあったかくて懐かしくて少し寂しい気持ちになれるの、凄いなぁ。

 

〈MC〉
 ※センターステージへ移動。「声が思い切り出せない状況だからこそ、僕たちが思い切りこの歌を贈ります」といったニュアンスのMC。

 

08. 声
 ※「SUPERMARKET FANTASY2009」のようなアレンジ。
コロナ禍の今聴くと「言葉なんて無くたって繋がってられるよ」というメッセージをひしひしと感じます。サビで桜井さんの声だけがどこまでも伸びていく感覚、気持ちいいだろうな。

 

09. Sign
日比谷音楽祭2021のステージで「君の分かんないところで僕"ら"今奏でてるよ」と聴いた時に改めて、一生この人が歌う歌を聴き続けようと決意したんですよね。ライブでこの曲と向き合いたいです。

 

10. シーラカンス
森田恭子さんの言葉を借りるなら、ここから何曲かは「Heavy Section」。Mr.Childrenの歴史を考えた時に、やはりアルバム「深海」の要素はどこかに組み込みたいなと思っています。Mr.Childrenの世界は必ずしも綺麗で勇気に溢れるものだけじゃなくて、暗くて怖くて厳しい世界だってあって。そういうところがMr.Childrenをさらに魅力的に輝かせるんだと、ずっと思ってる。

 

11. DANCING SHOES
ライブ映えする曲ですよね…!いやもちろんCDで聴いてもカッコイイんですけど。ダークに始まって、力強く鳴らされて、スパッと終わる。切れ味の鋭さを、会場で味わいたい。

 

12. Dance Dance Dance
月並みだけど、初めてダンシューを聴いた時からダンシュー→Dance Dance Danceの流れは固いのかなと。この曲の"場を湧かせる"力は凄い。いろんなライブで演奏されてるのに、その都度いろんな姿を見せてくれる「Dance Dance Dance」は最高。

 

13. 深海
 ※ここからはメインステージでの演奏。
シーラカンス」を入れたなら、「深海」を入れない訳にはいかないでしょう。ここで「Heavy Section」はおしまい。「連れてってくれないか、連れ戻してくれないか」って、いつも漠然と思ってる。

 

14. 永遠
「永遠」と共に過ごしてる時間はまだ短いけど、聴けば聴くほど本当に魅力的な歌ですね。きちんと映画の世界観を見せながら、かといってタイアップタイアップし過ぎていない。そこもまたMr.Childrenのなせる技なのでしょうね。随所に見られる桜井さんの高音を堪能したいです…

 

15. Others
これを声を大にして言うことが良いのか悪いのかちょっと悩ましいところではあるのですが、こういう世界観の曲が私は大好きです。切なくて儚くて無力でやるせなくて、そんな主人公がどこか自分と重なる。今1番生で聴きたい曲のひとつ。

 

16. UFO
「Others」からの流れでこの選曲は、自分でもどうなのと思いますが(笑)例に漏れず大好きな1曲です。これを今の桜井さんに歌って欲しいんだよ。

 

〈MC〉
メンバー紹介。
コロナ禍での生活と音楽活動について。仏像の話などを交えながら、今後の自分たちの在り方についてのMC。ちょっと長め。

 

17. Documentary film
この曲の重要性はMr.Childrenにとっても、ファンにとっても、きっと"半世紀"まで変わらないのだろうなと。

 

18. Any
「今僕がいる場所が探してたのと違っても、間違いじゃない。きっと答えは一つじゃない」という言葉に、誇張なしで何度も命を救われている。ライブで聴いたら、涙止まらなくなって大変なことになるかも…

 

19. 掌
昨今の社会情勢だったりSNS社会を見ると「価値観も理念も宗教もひとつにならなくていい」というメッセージをもう一度思い出すべきなのかな、と思ったり。ライブの特別アレンジバージョンも好きだけど、このライブでは原曲通りに歌って欲しいかな~!SUNNYさんの見せ場をひとつ奪っちゃう形にはなるけど!

 

20. タガタメ
この曲も「掌」と似た理由での選出です。これがアルバムのライブなら「タダダキアッテ」を選んだところなのですが、アニバーサリーライブなので「タガタメ」で。

 

21. 365日
「365日の心に綴るラブレター」
真っ直ぐなラブソングを、真っ直ぐな気持ちで聴きたい。

 

22. Birthday
30歳の誕生日のライブなんだから、この曲は外せないっしょ!!!
「いつだってIt's my birthday」に、若干の「365日」との繋がりがあるかなとも思ったり…

 

23. Brand new planet
この曲はMr.Childrenとそのファンにとって、未来への応援歌ですよね。「新しい欲しいまでもうすぐ」と願い続ける限り、どこまでも行けるような気がする。

 

24. エソラ
 ※大量の紙吹雪
キラキラした「エソラ」をこの目に焼き付けたい、その一心です。

 

25. Tomorrow never knows
言わずもがな。「明日は決してわからない」ということは、コロナ禍で嫌というほどわかったでしょう。それでも手を伸ばし続けることで、いつかは再会できる。この曲に本当に勇気をもらった。

 

26. 未完
30周年という偉大な歴史を祝したツアーのラストで歌われる「未完」を想像したら、妄想なのに少し泣けた。「常識という壁を越え」て、いつまでも走り続けて欲しい、という願いを込めつつトリをこの曲にしました。

 

ENCORE
EN1. 風と星とメビウスの輪
アンコールはゆったりとした曲で始まるのが好きだったりします(AAGの「SINGLES」で考えを改めようかとも思いましたが)。この曲を初めて聴いたときの衝撃は今でも覚えていて、今でも「1番好きなMr.Childrenの曲は?」と聞かれたら、迷いなく"これ"と答えています。

 

EN2. Hallelujah
ライブで何度もとんでもないインパクトを残してきた「Hallelujah」を、アンコールのこのタイミングで聴きたい。この曲のラストが胸の高まりを生んで、ライブのラストに向けて会場がさらに湧き上がっていくイメージでの選曲です。

 

EN3. Innocent world
 ※大量の銀テープ
「またどこかで会えるといいな」この曲はやはり外せない。あえて多くを語る必要もないですよね。

 

〈MC〉
感謝と今後の抱負、最後に「再会を祈ってこの曲を演奏します」と言ってラストへ。

 

EN4. やわらかい風
自分の人生が1本の映画だと仮定して、あなたはエンディングテーマにどんな曲を選びますか?
私は、「やわらかい風」を選びます。自分の人生のエンドロールではこの曲が流れていて欲しい。
同じように、ライブのラストにこの曲が流れていて欲しいのです。ちょっとの後悔と、いっぱいの感謝と、未来への希望を込めて、この曲でライブは幕を下ろします。

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eИumotoの妄想セットリスト
01. The song of praise
02. 蘇生
03. 終わりなき旅
04. Worlds end
〈MC〉
05. GIFT
06. くるみ
07. 君がいた夏
〈MC〉
08. 声
09. Sign
10. シーラカンス
11. DANCING SHOES
12. Dance Dance Dance
13. 深海
14. 永遠
15. Others
16. UFO
〈MC〉
17. Documentary film
18. Any
19. 掌
20. タガタメ
21. 365日
22. Birthday
23. Brand new planet
24. エソラ
25. Tomorrow never knows
26. 未完

 

ENCORE
EN1. 風と星とメビウスの輪
EN2. Hallelujah
EN3. Innocent world
〈MC〉
EN4. やわらかい風
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以上です。改めてMr.Children30周年おめでとうございます。
10年先も、20年先も…いや、永遠に。Mr.Childrenと生きれたらいいな。

まだだよ、まだいくよ。

「生き延びてしまった」と思わされることが2011年以降度々あった。
テレビの映像を見て、遺族の方の話を聞いて、実際に被災地に足を運んで。

 

わかっている。そんなことを思うなんて、本当に辛い思いをしてきた方々に失礼な話だと。
そしてちっぽけな男がそんなことを考えたところで何の意味もないのだと。
わかってはいる。
わかってはいるのだが、どうしても思ってしまうことがある。「自分は不用意に生かされてしまっているのではないか?」と。

 

私は11年前、仙台であの地震を経験した。皿は割れ、棚は倒れ、壁も壊れた。

 

でもそれだけだった。
家族は皆無事だった。住む家も大した被害にはならなかった。ライフラインも割と早い段階で復旧した。
あの絶望の状況の中、恵まれていた、と思う。

 

だからか、自分が「被災者」であるという意識は年々薄まっている。


確かに当時は大変だった。大変だったけれど、家族を、故郷を、帰る場所を失った人たちを沢山見てきて、私ごときが「大変だった」なんて、もう口が裂けても言えない。

 

悶々としていた。
テレビの映像を見て、遺族の方の話を聞いて、実際に被災地に足を運んで、その度に涙が目に溜まる。でもその涙が、なんだか偽善的に思えて、素直に流れていかない― そんな経験を何度もした。
「俺が代わりになれれば…」なんておこがましいことも頭を過った。
力になりたいのに力になれない自分の力のなさを呪った。

 


そんな中迎えた去年。震災から10年。
私が大好きな人からとある言葉を貰った。


それは「forgive」。
日本語で言うところの「許す」だ。
TBCの音楽特番「音楽の日」のために、櫻井和寿小林武史が作ったBank Bandの曲である。

私が大好きな人は、いつでも自分にぴったりな言葉をくれる。「forgive」という言葉はまさに"それ"だった。

 

 

あぁ、自分は許されたかったんだ。
生き延びてしまったことを、力になれないことを、そんな想いを背負って生きていくことを。

 

 

櫻井さんとMISIAさんの歌声は私に「許し」をくれた。この曲を聴いて、自分の中にあったネガティヴでマイナスな感情が、少しだけ解放された感覚がする。

 

確かに悶々としていた。
でも本当は、何をすべきか、早々に気がついていたんだと思う。
生きていくしかない。
不用意だろうが、綺麗事だろうがなんでもいい。
日々を生きていくしかない。
ネガを少しでもポジに変えるべく、動いていくしかない。

 


「リメンバー・ミー」というディズニー映画は、死者の国の話が登場する。そして死者の国には「2度目の死」という概念がある。それは現世で生きる人たちに、忘れられたときに迎えるもの。(※実際のストーリーとは少し解釈が異なっています。是非とも映画を観ていただきたいです)


11年という長い月日を経て、「2度目の死」を遂げてしまう人がたくさんいるような気がしている。

 

 


忘れたくない。こう考えることすらも、もしかしたら偽善的なエゴなのかもしれないけれど、やっぱり私は、いなくなってしまった人たちを忘れたくない。それは私たちにもできることだと思うから。

 

いろいろな人と話をしてきて、中には「もうあんな辛かったこと、忘れてしまいたい」と言っていた人もいた。それは本心だと思う。「忘れない」という言葉がある種標語のようになっている側面もあると感じる。「忘れたい」と願う人の気持ちも尊重したい。
そして3月11日を"ただの1日"にしたい人だっている。「3.11が誕生日なんだけど、世間のムード的に祝ってもらえるような雰囲気じゃないんだよね」友人が言っていた。
3.11への向き合い方は人それぞれでいいと思っている。みんなで同じ方向を向く必要はないし、足並みを揃えなくたっていい。それぞれの歩幅で、東北を想ったり、想わなかったりすればいい、と思う。

 

 

だからこそ。
その分を、背負える人で背負っていこう。 "いつも" は難しいかもしれない。

でも毎年この1ヶ月くらい、
いやこの1日、今日くらいは。
思い出して、自分事として東北に思いを馳せたい。それが "生き延びてしまった" 私にできることだと思っている。

 

 

昨日を許して、次の僕らへと。
自分を許して、次の未来へと。


涙を連れて飛んでけ、次の僕らへと。

 

Bank Band「forgive」より

 


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さよなら2021年

2021年のスタートは恩師からの手紙だった。年賀状ではなくシンプルな便箋の手紙。

その先生は国語の先生である。特に言葉を大切にしている職業だ。そしてその先生は私の数少ない " ミスチル仲間 "でもある。私が在学していた当時からよくMr.Childrenの歌詞について、やれあの曲のあそこはどれそれこういう意味だ、この歌詞はあのことを示しているに違いないといろいろと話をした。今でもメールや手紙でやり取りをしている。
そんな恩師からの手紙。中にはとある歌詞が引用されていた。

 

「でもね僕らは未来の担い手、人の形した光」

Mr.Childrenの「箒星」の一節だった。
その手紙を読んで、なんとなく「この曲は今年のテーマソングだな」と感じ、今年は事あるごとに「箒星」を聴いてきた。

 

 

時は変わって、クリスマスイブ。
Mr.ChildrenからのクリスマスプレゼントがYouTubeに公開された。「誰も得しないラジオ(仮) Special」と題されたそれは、Mr.Childrenの4人(+SUNNY)が、優しく楽しそうに話し歌い奏でる、正しく"スペシャルな"映像だった。
そこで演奏された1曲目。それは私の2021年のテーマソングである「箒星」だった。


ビックリした。こんなタイミングで彼らが歌う「箒星」を聴けるなんて考えてもみなかったから。

そして少し笑った。こんなこともあるんだな、と。

 

その後は自分でもビックリするくらいのスピードで先生にメールを打った。普段なら相手が国語の先生ということもありヘタな文を書けないなと思ってきっちり校正するのだが、この感情は何より鮮度が大事だと思い大胆に書き連ねた。

 

こんなこともあるんだな。

 

いや、別に大して騒ぎ立てるようなことではないのかもしれない。たまたま先生が引用した歌を、たまたまMr.Childrenの誰かが「やろうよ」と言っただけの話である(「やろうよ」と言っただけかは定かではないが)。

 

けれども。この1年の流れにストーリー性を、偶然を、運命を感じているのは紛れもない事実だ。
2021年もいろいろあった。世界は相変わらずコロナ色だったし、個人的にも頭を悩ませることが少なくない1年だった。そしてその都度、しつこいくらいに"2021年のテーマソング" を聴いてきた。
なんてことない現象にわざわざ意味を持たせるなよ、という意見もわかる。私だって何でもかんでも結びつけてるわけじゃない。でもたまには、こういうのもいいんじゃないかと思った。

箒星」を選んで引用してくれた先生、「箒星」を選んで聴き続けてきた私、そして「箒星」を選んで演奏してくれたMr.Children。なんだかみんなが繋がっているような気がしたから。

 

この間見たテレビ、「プロフェッショナル 仕事の流儀」で俳人の夏井いつきさんがこう言っていた。

「誰かと誰かがわかりあえるのは、言葉以外にありえない」
「言葉でしか、人と人とはつながれない」

これを聞いて、「あぁ、やっぱりそうなんだな」と思った。そしてそれは裏を返せば、「言葉さえあれば人と人とはつながっていられる」ということだと捉えた。
コロナ禍で人との繋がりが希薄になったと言われている。少しずつ以前の姿が戻ってきたとはいえ、まだまだ明日のことは決してわからない。
それでも、繋がっているための道具はみんなもう既に持っている。問題はどう使うか、どう受け取るか、どう向き合うか、だ。
せっかく使うなら、私はポジティブに使いたい。前向きに言葉を紡いでいる限り、繋がりは消えない。

「何にも縛られちゃいない、だけど僕らつながっている」

2021年が終わる。
2022年もこじつけて、信じて、繋がっていたい。

そんなことを考えている。

 

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